「行動に組み込もう」
仕事に行く妻が、スマホをたびたび忘れて家を出てしまうことが気になっていた夫は、半年くらい前から「なんとかしよう」と考えていました。 最初は、夫が「スマホ持った?」と声をかけるようにしてみましたが、夫自身がそれを忘れてしまうこともあり、万全ではありません。 そして、「出勤前の行動の中にスマホを手に取る行為を組み込もう」と思いついたそうです。
自転車に乗る→必ず鍵を取る
夫である大村卓さんの本業はプロダクトデザイナー。もの作りの経験から、妻のスマホ忘れの問題にも、「何か装置が作れそう」という予感があったそうです。 まずは、妻が仕事に行く前の「行動」を考えました。 仕事で駅に向かうために、自転車に乗ります。そして自転車に乗るには、必ず「鍵」を持ち出します。 妻の性格は、「ものを決まった場所にきっちりしまうタイプ」。 「装置に鍵を入れておいてもらうことはできる」と考えました。
鍵を入れる箱
装置は3Dプリンタで2~3日で作ったそうです。 装置は、自転車の鍵を入れる箱になっています。箱の脇には縦にしたスマホがちょうど入る幅の狭い溝があります。 その溝にスマホを差し込むことで、溝の底にある板を押し下げます。すると、シーソーの原理で、鍵入れの箱の底板が押し上げられ、鍵がせり上がってくる仕組みです。つまり、鍵を持ち出すには、スマホを使う必要があるということになります。 この装置をXに投稿すると、「誰かのための発明、いいなー」「優しい」「妻への愛が伝わる」など、6万いいねの反響を呼びました。
妻の反応は
装置をプレゼントされた妻は、どんな反応をしたのでしょうか? 「『またなんか変なもの作ってきたよ』というめんどくさそうな反応をされました。 しぶしぶ使ってくれています」と大村さん。 動画では、スマホを装置に置いて鍵を取るというふうに見えるため、コメントでは「鍵を取った後に、装置にスマホを置いたことを忘れそう」など、逆に「装置へのスマホ忘れ」を心配する声も寄せられました。 でも実際は、右手でスマホを持ったまま溝に差し込んで、左手で鍵を取って出かけるという動きになるそうで、「スマホを置いたまま忘れる」ことは起きないそうです。