最近は「あおり運転」によるトラブルが後を絶ちません。 そこで、2020年6月の道路交通法一部改正で「妨害運転」の定義が明示され、罰則が設けられました。クラクションを鳴らすこともそのひとつです。 ではクルマのクラクションとは、いったいどのように使えば良いのでしょうか。正しい使い方を確認していきます。 クラクションを鳴らすタイミングは、道路交通法52条1項で以下のように明示されています。 — 1.左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。 2.山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。 — つまりクラクションは、見通しの悪い交差点やカーブ、上り坂の頂上などで、対向車に自分のクルマが来ていることを知らせるものなのです。 クラクションを鳴らす場所には「警笛鳴らせ」の道路標識が設置されており、「警笛区間」の道路標識で鳴らす区間も決められています。原則、クラクションを鳴らすことができるのは、これらの道路標識がある場所のみです。 また、道路交通法54条第2項には以下のように書かれています。 — ・車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。 — 警笛鳴らせの標識がある場所以外では、クラクションを鳴らすことを禁止しています。しかし、危険を防止するためには鳴らしても良いのです。 では「危険を防止するためやむを得ないとき」とは、どのような場合でしょうか。 例えば追い越しの際、前方のクルマが自分のクルマに気付かず、急な進路変更をしようとした場合が該当します。これは危険を知らせる行為となり、違反にはなりません。 しかし、割り込んできたクルマに対しての抗議や、発進しない前のクルマへの促し、遅いクルマへの威嚇といった理由でクラクションを鳴らすのは違反となります。 ポイントは、クラクションを鳴らすことで「衝突や追突などの事故を防ぐことができる」かどうかです。 そもそも「警笛鳴らせ」の標識があるのは、自分のクルマの存在を知らせ、危険を防止する必要がある場所です。 標識のない場所であっても同様に、クルマの接近を知らせて命の危険を回避するためのクラクションならば、違反とはなりません。 そのほか、クルマの接近に気が付かずに道路を横断しようとしている歩行者への注意も、危険防止と言えます。
不用意なクラクションが重大なトラブルの原因となることも
一方、クラクションは挨拶や合図、お礼などに使っているドライバーも多く、日常生活でよく耳にします。 しかしこうした用途でクラクションを鳴らすのは、道路交通法違反に該当する場合があります。
気軽に「プッ!」のつもりがトラブルの元となるケースも…[画像はイメージです]
以下のようなケースが挙げられます。 ・見送りをした時の挨拶 ・知り合いとすれ違った時の挨拶 ・迎えに来た時の到着の合図 ・道を譲ってもらった時のお礼 — これらは全て「危険を防止するため」ではありません。 クラクションをむやみに鳴らしてしまうと、本当に危険な時に察知できなくなってしまい、警音器の意味を成しません。 そのため、危険防止以外を目的とするクラクションの使用は制限されているのです。 クラクションを鳴らしてはいけない時に鳴らすと「警音器使用制限違反」が適用されます。違反点数はありませんが、反則金3000円が科せられます。 逆にクラクションを鳴らすべき時に鳴らさないと「警音器吹鳴義務違反」となります。違反点数は1点、反則金は6000円(普通車)です。 鳴らすべき時に鳴らさない方が罰則も重くなっていることからみても、適切な場面でクラクションを鳴らすことの大切さがよく分かります。 クラクションの乱用は、罰則を受ける可能性があるだけでなく、トラブルに発展する危険性もあります。 鳴らされた側が腹を立てて危害を加えてくる、あおり運転を受けたと警察に通報されるなど、思いがけない事態になってしまうこともあるのです。 また、大きな音で運転者を驚かせ、事故の原因となるケースもあり得ます。 トラブルや事故を引き起こさないためにも、必要のないクラクションの使用は控えた方が良いでしょう。 ※ ※ ※ クラクションの使用が常用化してしまうと、本当に危険を知らせる場合と区別が付かなくなるほか、騒音公害や、トラブルや事故に発展する恐れもあります。 鳴らすことができるのは、原則「警笛鳴らせ」の標識がある場所を通行する時、もしくは危険を防止するためやむを得ない時です。 クラクションは「意思表示」ではなく「危険を防止するため」に鳴らすものという意識を持ち、むやみに鳴らさないように心がけることが大切です。
超短期くんがいますからね~、危険ですよね(笑) 気をつけましょうね。