イメージ（写真と本文は直接関係ありません）

　4月4日は「歯（4）周病予（4）防デー」。厚生労働省の調査によると、30代以上の3人に2人が歯周病だ。痛みなど自覚症状がないため知らずに進行し、歯を失う最大の原因となるだけでなく、全身のさまざまな病気との関連性も指摘されている。また、歯周病には女性ホルモンが密接にかかわっており、悪化しやすい時期があるため特に注意が必要だ。歯周病の仕組みや予防法についてまとめた。　（新西ましほ） 【4つ以上当てはまると危険】歯周病チェックリスト

■放置すると…

　「歯の表面を爪で引っかくと、白いネバネバしたものがついてきませんか？　これは食べかすではなく、歯垢（しこう）（プラーク）という細菌の塊です」 　サンスター財団附属（ふぞく）千里歯科診療所（大阪）の歯科医、三宅直子さんによると、歯垢1ミリグラムの中には、10億個もの細菌が存在。歯周病は、この細菌たちが歯と歯茎の間の溝に入り込み、炎症を起こす感染症だ。 　健康な歯茎では、溝の深さは1～2ミリ。溝に歯垢がたまると、酸素のない環境を好む歯周病菌が活発になって毒素を出し、歯茎に炎症を起こして腫れ、溝が深くなる。こうしてできた歯周ポケットには歯垢がたまりやすく、炎症がひどくなるという悪循環が生じる。 　歯周病の初期の段階は「歯肉炎」と呼ばれ、歯茎が腫れたり出血したりする程度。適切な歯磨きと歯科医院での治療で健康な状態に戻すことが可能だ。だが、歯肉炎を放置していると、炎症が進んで歯を支える歯茎や骨が溶ける「歯周炎」となり、歯がぐらつき、最後には抜けてしまう。

■女性はご注意

　歯が減ることで、食べこぼしや滑舌の悪化など口腔（こうくう）機能が低下すれば、食事や会話に不具合が出る。食べる量が減れば低栄養となり、会話に支障が出ると社会的にも孤立していく。「要介護の一歩手前まで心身の機能が衰える『フレイル』の入り口なんです」と三宅さん。歯周病菌は硫化水素などのガスを作り出すため口臭の原因にもなる。 　近年の研究では、歯周病菌によって生み出された有害物質が血液を介して全身に運ばれ、影響を及ぼすことも分かってきた。糖尿病や動脈硬化、心臓病、認知症などさまざまな病気のリスクになると考えられている。 　「歯周病菌の中には、女性ホルモンを栄養源に増殖する菌がいることも分かってきました」。女性ホルモンが大量に分泌される妊娠期は歯茎が腫れやすく、つわりで口内環境も悪化。妊婦が歯周病にかかっている場合、早産や低体重児出産の可能性が高まるというデータもある。 　一方、女性ホルモンが減少する更年期は、骨密度低下で歯を支える骨も弱くなるため進行しやすく、より丁寧なケアが求められる。

3/31(金) 10:19配信