外出先で「寂静さんですよね?!」と優し口調で声を掛けられたが、スグには名前が
浮かばず「ごめんなさい、どちら様でしたでしょうか?」と恐縮しつつお伺いした。
「30年前、娘の結婚式に○○ホテルで司会をして頂いた○○です」と丁寧にお答え頂き
瞬時にあの頃が蘇った。新郎新婦の笑顔とご両親の幸せそうな微笑みと友人達の祝福。
挙式前日、ご自宅の床の間に当日の打掛を一夜飾りして、ご家族との最後の夜を大切に
心してお過ごし頂いた。孫娘の門出に涙したおばあちゃんは今はもういない。
あれからの年月、積み重ねた分の幸せが伝わる。その披露宴出席の方の口コミを頂き
その後二組の成婚が実った。ひとつの出逢いから始まる、目には見えない無限の縁がある。
お子達はすでに独立し、夫婦二人の生活に戻ったとt話す二人は、定年を迎え今は念願の
国内旅行を楽しんでいると言う。まだあの頃の出家前で髪があったし、作務衣姿の寂静に
気付いて下さったことがあり難かった。結婚式の司会の縁が友人の良縁へと繋がり
30年目にして偶然出逢い声を掛けて頂いた事に感動感謝っである。