ペンを手に原稿用紙に向かう爆笑問題・太田光(撮影・村上 大輔)
お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光(57)が11年ぶりに新作小説を刊行する。3月8日に発売予定の「笑って人類!」(幻冬舎)で、原稿用紙1200枚超えの書き下ろし大作だ。本紙のインタビューに応じ「直木賞が獲りたい!」と率直な思いを吐露。その真意とは――。 (鈴木 美香) 【写真】原稿用紙を前に熟考する爆笑問題・太田光 デビュー作「マボロシの鳥」(2010年)、「文明の子」(12年)に続く3冊目の小説。構想には5、6年かかったという。 「最初は映画の脚本用に書いていた。だけど、映画の製作が仕切り直しになったから、せっかくのアイデアを残したいと思って、小説にしたんだよ。だから(11年ぶりの小説という)ここまで時間がかかったんだけどね」 驚くのはそのボリューム。「脚本のキャラクターを膨らませていったらこんなになっちゃった」。「マボロシの鳥」は286ページ、「文明の子」は311ページだったが、「笑って人類!」は1ページ2段組みで532ページ。原稿用紙で1200枚超えの大作だ。 担当編集者の幻冬舎取締役、菊地朱雅子氏は「これまでの芸能人の方の小説で、ここまでの大長編はありません。また、隅々まで緻密に計算しつつ、壮大な世界をつくり上げた感動と興奮のエンターテインメントで、太田さんの作家としての力量が遺憾なく発揮されています」とベストセラーに自信を見せている。 舞台は2100年代。主要国のリーダーが集まる「マスターズ和平会議」に極東の小国の首相がまさかの遅刻。そのおかげで惨劇を免れた「ダメダメ総理」が世界平和のために立ち上がる姿を描く。 全くのゼロベースからつくり出した架空の物語の中に、当代きっての時事漫才の担い手らしく、リアリティーを感じさせる出来事が次々と登場。「テロリズムとか、この国で起きている社会問題とか、ネットの炎上とか、AIとか…。俺が普段考えていることを凝縮した」。二転三転する展開が軽快な筆致でつづられた。 ユニークなタイトルには、創作動機につながる意外な存在がある。 「“笑っていいとも!”が終わっちゃったんで、それに代わるものはないかな?って思ってタイトルを付けた。なかなか笑えないニュースが多い中だけど、笑っていこうよ!って感じです」 そして狙っているのは文学賞だ。 「大衆文学だから当然、直木賞を狙いたい。でも、直木賞じゃなくてもいいんだ。文学賞っていっぱいあるでしょ?ノミネートだけでもいいから、多くの人に読まれるきっかけになってほしい。それが純粋な思いです」 閉塞感漂う世の中を“笑っていいとも!”の精神でぶち破りたい。太田らしい真意が分厚い本に込められていた。 ◇太田 光(おおた・ひかり)1965年(昭40)5月13日生まれ、埼玉県出身の57歳。1988年3月にコンビ結成。93年度「NHK新人演芸大賞」で漫才では初の大賞受賞。TBS「サンデー・ジャポン」、テレビ朝日「爆問×伯山の刺さルール!」、NHK Eテレ「太田光のつぶやき英語」などレギュラー多数。血液型O。 ▽笑っていいとも! タモリ(77)司会で1982年10月4日にスタートし、2014年3月31日の最終回まで月~金曜昼にフジテレビで生放送された国民的番組。全8054回放送された。「テレフォンショッキング」など数々の名物コーナーが生まれた。太田は2000年から番組終了の14年3月まで出演。14年3月31日夜の最終回グランドフィナーレ特番では、芸能界で不仲説が都市伝説的にささやかれた「ダウンタウン」松本人志(59)と共演が実現し話題を呼んだ。
タイトルが良いですね!!! 是非読みたいです。大ファンですから。