――大谷さんは日本でプレーしていたときに「WBCは目標にしているというより憧れだった」と仰っていました。当時とメジャーでプレーしている今、日本代表への想いに変化はあると感じていますか。 「その想いは、より強くなっているんじゃないですかね。以前はただ単に日の丸をつけたい、日本代表に選ばれたいという感じでしたから、そこは今とは全然、違います。このチームでの僕はもう主力として計算される立場になったと思っていますから……去年のエンゼルスでもそうでしたけど、このくらいはやってくれるだろうという想定とか期待ではなく、計算されている選手としてどういう成績を出すのかというところがプレッシャーになると思うんです。期待されているうちはプレッシャーはありませんからね。頑張ればいいし、期待してくれてありがとうございますというだけの話でしょう。やっぱり計算されるようになってくるとキツくなるし、なおさらちゃんとやらなくちゃという気持ちが出てきます」 ――だからこそ、WBCに出るという気持ちはずっと揺らがなかったんですね。 「WBCもまだ若い大会なので、大会を盛り上げるイチ選手として、なるべくベストな状態で大会に出たいと思っていました。せっかくいろんな国からベストに近いメンバーが出てくるんですから、僕たちもそこにしっかりフォーカスすることによって、10年後、20年後、30年後、もっともっといい大会になっていけばいい。僕が小学生とか中学生のとき、イチローさんがWBCでプレーして成し遂げてくれたことというのは、僕だけじゃなく、日本の野球にとっても素晴らしいことだったと思うので、そういう体験を子どもたちにしてもらえるように、頑張りたいなと思っています」 ――WBCでも大谷さんは投打ともに主力として計算されていますが、メジャーで二刀流の選手としてプレーしてきて、何かを変えたという手応えは感じていますか。 「今までで何が一番嬉しかったかと言われたら、TWO-WAY登録ができましたとか、ピッチャーとして投げながら打線にDHとして入れますとか、ルールができたことですよね。150年近い歴史があるリーグの中で、新しいルールができちゃうんですよ。それって嬉しいじゃないですか。やってきたことが有意義だったからこそ、形にしてもらえたわけで、それは、ありがとうございます、という気持ちになります。日本のときにはなかったことですし、野球が生まれた国の人たちにそう思ってもらえたというのは嬉しいですよね」
「いずれは終わってしまうんだよな…」
――今年の7月には29歳になります。もう29歳か、という焦りと、ピークが来る30歳から35歳の全盛期がいよいよ来るぞ、という楽しみ、どちらが大きいんですか。 「楽しみはあります。でも、自分の計算の中ではもうピークが始まっているとも思っているので、これがいつまで続くのかな、いずれは終わってしまうんだよなという気持ちもあります。ピークから下がってきたとき、僕はどういう気持ちになるのかなということは考えますね。今は上がっている状態なのでいいんですけど、ちょっと下がってきたとき、一気に気持ちが落ちてしまわないかなという、アレはあります」 ――アレ、というのは不安なのかな。でももうそんなことを心配しているんですか。 「そうなるまでにどれだけの数字を積めるかということにもよるんでしょうけど、僕は向上していくことに楽しさを見出すタイプなので、どうなんでしょうね。歳を重ねれば技術的にはどんどん上がっていくと思いますけど、フィジカルはケガがないとしても落ちてくると思うので、そこで差し引きプラスマイナス、ゼロくらいになるのかなと……そのときに、それまで培ってきた技術でどこまでできるのかという方向へシフトするのか、いやいや、もっと行けるはずだと考えてフィジカルをさらに強くする方向を目指すのか、どっちに考えるんでしょうね。そこは今はまだわかりません」
大谷翔平、28歳の幸福論
――そこまで先を考えると気が休まることがないように思いますが、せめて今、ささやかな幸せを感じる瞬間を教えて下さい。 「今のささやかな幸せか……何でしょうね。ささやかな幸せを感じるまでもなく、今は日々に満足していますね。今日もしっかり練習できたし、これから帰ってごはんも食べられるし……今の時期は何を食べたいという段階じゃないんです。シーズンが始まったらカロリーを気にしながら好きなものを食べるんですけど、今はヘルシーバランスを優先して何を食べるのかを決めていますから、食べられるという平穏な一日に満足しているんです。夜になったら寝心地のいいベッドがあってそこで寝られるし、明日が来ればまた練習できるし……そういう、何の不安もなく暮らせる感じというものに満足しているんですよね。それがささやかではない幸せなんだと思います」 <#1「オフの過ごし編」から続く> 大谷翔平(おおたに・しょうへい) 1994年7月5日、岩手県生まれ。花巻東高から’13年にドラフト1位で日本ハム入団。’18年にエンゼルスに移籍し、’21年に9勝、46本塁打でア・リーグMVP。昨季はメジャーで104年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打達成。’15年プレミア12以来の国際大会出場となる。193cm、95kg
カッコいいですね~、ストイックで、スーパースターです!!! 193なんですね~
誕生日は、一緒です(笑)