「こんな不便な田舎にお嫁さんなんか来るはずがない」と、妙な自信を持っている彼。
男ばかりの三人兄弟の長男で、隣町役場に勤務する地方公務員で間もなく４５歳になる。
こんな田舎にお嫁さんは来ないだろうと思いつつも本人同様、結婚を望んで多少の
期待もしていたご両親も、いよいよ心配になりどうしたもんかと悩み始めた。
ご先祖様から受け継いだ広大な土地を守り、大自然に包まれ野菜作りや乳牛を育て
ニワトリも飼い林業もしていて、従業員を抱えての大規模な仕事ぶりである。
二人の弟達は２０代で大恋愛の末に結婚し、都内で幸せに暮らしている。
引っ込み思案で特に異性との会話が苦手な彼は、友人達との飲み会も女性の参加が判ると
欠席を決め込み、それじゃぁ～自然な出逢いは望めないと両親と一緒に来社した。
家の跡取りもとても大切な事だが、それは弟達と相談して決めれば何とかなると思う。
それより此の儘ずっと一人でいては、暮らしは出来ても寂しかろうと両親は言う。
「長く続いた家を守って貰わないと困る」ではなく、長男を案じる親の気持ちが温かい。
かくして、カウンセリングを経て緩やかにお見合いは動き出した。
お見合いは緊張したが「案外一対一だと話が出来ます」と少し自信を持った彼は笑顔。
声が小さく大人しいとの不調もあったが、7回目のお見合いで快活明朗な女性と成婚。
「探せば逢える、待っていても逢えない」と仲人も実感。幸せにあれ♪
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