こんにちは!ウインの勝山です。
ヤフーニュースより引用致しました。
「結婚しなきゃと思わせてしまう社会の空気を、どこかで入れ替えたい」――「敏感中年」48歳、ふかわりょうの生きる道
撮影:殿村誠士
現在、日本において結婚をしていない男性は400万人以上。国内にとどまらず、未婚男性は世界中で増加傾向にある。そんななか、「未婚率の統計を、社会的に深刻な状況として角度をつけるのはいかがなものか」と指摘するのは、エッセイストとしても活躍する高学歴未婚芸人、ふかわりょう。ふかわは、人間はそもそも一人であること、それを意識の軸として生きることの大切さを説く。これはふかわの事実上の無婚宣言なのか。はたまた、強がりか。彼の言葉に垣間見る、こじらせ系独身男性の本音とは。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル特集編集部)
結婚をものすごくハードルの高いもの、相当高く積み上げた跳び箱のように感じている
撮影:殿村誠士
ふかわりょう、48歳。 日本で一番未婚が多いとされる層(40~60代)のど真ん中だ。 最近は、結婚について周りから聞かれることもめっきりなくなった。 恋愛は、人並みにしてきた。 結婚と恋愛を切り離しているわけでもない。恋愛の先に結婚がある、そう考える実直なタイプ。両親もダイヤモンド婚(60周年)を超え、仲睦まじく暮らす。 これまで結婚しなかった理由は、どこにあったのか。 「両親という、ある意味理想的な夫婦を見てきたので、自分の中で結婚を、ものすごくハードルの高いもの、相当高く積み上げた跳び箱のように感じてしまっていて。皆さんのようにスッと跳ばずに、踏切台で踏みとどまってしまう…みたいな。先入観に囚われているのかもしれないですけどね」 賃貸住宅での生活もずいぶん長くなった。マイホームも考えるが、そこに、伴侶や子どもたちといった家族のイメージがまったく浮かばない。そんな自分に、ハッとしたという。 「われながら、あ、これはもう、一人を覚悟してるのかな、と感じた瞬間がありまして。とはいえ、一生結婚しないということではなく……。私の立ち止まった場所で、ふと横に、たまたま立ってくれる人がいれば、その人と一緒に景色を眺めたいですし、そういう人がいなかったらいなかったで、それは構わないというか。“そもそも一人なのだ”という意識が、このところ強まったということです」
みんな結婚しましょう、産みましょうという圧
撮影:殿村誠士
独身者は、世界的に増加傾向にある。 「生涯未婚率のようなものが、統計として発表されるのは仕方ないんですが、社会的に深刻な状況として角度を付けることに違和感があります。生物として種を残すこと、生命を維持することは大事なことですが、みんな結婚しましょう、産みましょうという圧が、現在社会においては、むしろ負の作用を及ぼすのでは。それぞれの生き方がある。みんなに一つの価値観を押し付ける社会は、時代錯誤です。そういう意味でも一人が当たり前なんだという意識を持つ人が、一定数いてもいい」 結婚はあくまでも選択の一つ。一人であることを意識したい、とふかわは言う。 近年、エッセイに書き続けているテーマも、こうした考えに基づいている。 「夫婦や家族といった社会的なつながりがあったとしても、それでも人は一人。それを個々に自覚することが、むしろ円滑な社会生活に繋がると思います。断絶を望んでいるわけではなく、相手に多くを求めず、それぞれが一人でいることを尊重することが、むしろ愛情なのかなと」 「私も、今このままいけば、子どもを後世に残せない可能性もあるんですが、ただ、世の中に残せるものって、それだけがエネルギーではない。私は私なりに世の中に何か伝えられることがあればいいなあと、思っています」
ひとりで生きることを、自分に言い聞かせている部分もある
撮影:殿村誠士
上梓したばかりのエッセイ集のタイトルは、『ひとりで生きると決めたんだ』。 まるで生涯独身宣言をしたかのように見えるが……。 「そう思われても構いません。もしも私が既に誰かと結婚し、子どももいる環境では、おそらく出会わなかった事象を綴ってきたものなので、そういう意味でも、今の居場所から見えるものを大切にしたいなっていう思いは、確実にありますね」 独身だから見える風景がある。どこか遠い目で、穏やかにそう語るふかわに、「お友達のアンガールズ田中さんがご結婚されましたよね」(言い間違い)と言うと、突然「え!?」と目を剥いた。 「結婚じゃないですよね? 交際相手が見つかったんですよね? びっくりした~。……いや、『ひとりで生きると決めたんだ』って、自分に言い聞かせている部分もあるんですよ。こう言わないと、グラついてしまう。人って、言葉が本心じゃない場合があるじゃないですか。でもそう言うことで、自分の心の杖というか、柱というか、ある種、突っ張り棒みたいなものなんですね」 「ひとりで生きると決めたんだ」。これは、本当は大好きなのに、別れなければならないとき「あなたのことはもう好きじゃない」と伝える。そういう状況に近い、とふかわは言う。 「だから、『ひとりで生きると決めたんだ( ; ; )』みたいなやつです。でも、涙目もいつかはドライになる。その時に私は、本当の乾いた景色を見るでしょう。そのあたりでどういう文章が出てきて、どんな感情で向き合うかも、その時になって見なければわからないわけで」
撮影:殿村誠士
それにしても、ずいぶんとこじらせたものだ。現在の結婚観、恋愛観に至るまでに、何があったのか。パートナーに求める条件が高すぎたのでは? 「理想が高すぎるわけではないです。そうではなくて、自分が優しさだと考えるものと、相手が考える優しさとの間に、乖離があるということなんですよ。例えば、舞台の演出家が、主演女優に強烈なダメ出しをするとします。女優が泣いているところに、演出補佐みたいな人が近づいて、『いや、大変なのはわかるよ。でもみんな、君が頑張っているのをちゃんと見てるから』ってハンカチを差し出す。女性って、そういうのを優しさだと思うでしょう。でもそれ、『ミスターあわよくば』なんです。もう、私は、みんなに警鐘を鳴らしたい。その優しさは危険だと。一見優しさに見えるハンカチに、私は嫌悪感を抱いてしまうんです。……そういう乖離がずっとあったんです」 ふかわは恋愛において、「頼られたい、必要とされたい」タイプだという。 「必要とされることに愛情を感じる。パートナーの仕事が忙しい時ほど、頼ってほしい。でも、相手は逆に迷惑をかけないように、仕事に集中して距離を置きたがることがある。そうなっちゃうと、一緒にいる意味とは?となる。何かそういうことを、恋愛経験で学んできたところがあって」 そこはお互いに誤解を解くべく話し合うことはなかったのか、と聞くと、ブンブン首を振る。 「ダメなんです。僕は、四六時中必要とされていたいタイプなんです!……だから、もうこう言わざるを得ない。言い聞かせてる。『ひとりで生きている』と」 これまでも、結婚を考えたタイミングはあった。しかし、二人の軌道が重なることはなかった。それぞれが考える優しさの定義が、どんどん離れていく。ふかわの恋愛は、いつもそれで終わりを迎えてきた。 「頼ってほしいときに頼ってくれない。優しさを履き違えて、本当の優しさに気づかない。歯車が、噛み合わなくなってしまうというか」
こじらせの発端は、若い頃の恋愛にあるかもしれない
撮影:殿村誠士
発端は、若い頃の恋愛にあるかもしれない、と振り返る。 「高校から付き合っていた女性と、それぞれ別の大学に進学したんですけど、ある日のデート帰りに、彼女の表情が違った。『何かあるの?』って問い詰めたら、『好きな人がいる』と。彼女も、打ち明けたことでタガが外れたのか、そこでもうまっしぐら。連絡が途絶えがちになったころ、どうにも我慢ができなくなって彼女の大学へ行きました。当時は携帯もないですし、連絡は取れないから、突然。そしたら、ちょうど彼女が友達と3人で楽しそうにお喋りしていたんですよ。めちゃくちゃキャンパスライフを謳歌していた。で、ここで帰るわけにはいかないから、どうにかやり直してもらえないかなと言ったんですけど、彼女の手首には、僕とのペアウォッチではなくて、大きなオメガみたいな時計が。『好きな人にもらった』と言われて」 毎年クリスマスには、横浜のとある公園で、彼女にプレゼントを渡していた。その年のクリスマスイブも、件の公園へ一人で向かったふかわ。もしかしたら、戻ってきてくれるかもしれない。夕方から深夜になるまで待ち続けたが、彼女は現れなかった。 「日付が変わって、初めて彼女との日々が思い出に変わりました。ああ、これがサンタさんのプレゼントかな、と。ベンチにペンで『ありがとう』って書いて、帰りました。ええ、風邪をひきました。若気の至りというか、そこで何か、こじらせ始めたかもしれないですね」 人一倍、他人の心に敏感で、傷つきやすい。ふかわは「敏感中年」を自認している。 こじらせ系と言ってしまえばそれまでだが、古典から現代まで、恋愛小説のテーマはこうした部分にあったはずだ。恋に悩んで、社会の欺瞞に苦しみ、孤独を深めていく青年。 「作家には敏感中年が多いと思いますね。ポジティブに言えば、私も物書きが向いているんでしょう。敏感中年のこじらせ日記。エッセイのサブタイトルにしようとしたら、全力で止められました(笑)。意外と平静を装ってはいても、内部には結構いろんなことが巻き起こってるんです」
もう結局、あの手この手で甘えてるだけなんですよ
撮影:殿村誠士
こんな女性なら、結婚したいと思える、ふかわの理想の女性像とは。 「私の甘えを全部丸ごと、『かわいげ』と受け止めてくれる女性が、もし、この宇宙にいらっしゃれば。もう結局、あの手この手で甘えてるだけなんですよ。生まれ落ちた時にオギャーと泣き叫んでいた、その手法を変えているだけ。エッセイも全部、オギャーです。このオギャー、見栄や強がりを、全部受け入れてくれる方だったら、結婚するかもしれない」 ひとりで生きる覚悟を孤独の突っ張り棒にしながら、オギャーと叫び続ける。結婚しないかもしれないし、するかもしれない。すべては自由に、成り行きに任せ、漂っていたい。 「早く寝なきゃと思うと、逆に寝付けないことがありますよね。で、もう徹夜でいいやって開き直ると、スーッと眠れたりする。しなきゃという意識は、逆効果ですよね。結婚も同じだと思うんです。結婚しなきゃと思わせてしまう社会の空気を、どこかで入れ替えたい。その一端を担えたら。多様化といいながら、どこか窮屈な今の社会を少しでも快適にできたら。そんな思いで文章を書いています」 かつてはアイスランドに移住して、羊飼いをしながら一人で暮らしてみたいと語っていたが、最近は考えを改めたという。 「やっぱり老後は、病院まで歩いていけて、買い物も便利な場所がいいと思うようになりました。10年後は、横浜の綱島のタワマンで、家族4人暮らしをしているかもしれません」 2年後、50歳になるふかわが見つめるのは、果たしてどんな風景だろうか。 ___ ふかわりょう 1974年、神奈川県横浜市出身。お笑い芸人、文筆家。慶應義塾大学在学中の94年にデビュー。長髪に白いヘアターバン姿で「あるあるネタ」をつぶやく「初心者克服講座」で一世を風靡。現在はTV『バラいろダンディ』MC、『ひるおび!』コメンテイター、ラジオ『阿川佐和子&ふかわりょう 日曜のほとり』パーソナリティーを務める。ROCKETMAN名義で音楽活動も行う。今年11月、エッセイ集『ひとりで生きると決めたんだ』が発売される。
考えは、かわりますからね~、結婚した方が良いです(笑)
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