専門職として前向きに仕事に取り組んでいた彼女は、

人柄も良く部下や同僚からも慕われていた。

定年退職後も趣味の仲間や友人達と集い、

まさに充実の毎日だった。

何不自由ない生活に満足していたし、

声が掛かると何処へでも参加して、

笑顔にあふれた時間を友と重ねた。

一緒に住んでいた両親も、介護の後に旅立ち、

誰にも頼られていない虚しい日々が急に押し寄せたと語る。

帰宅するといつも一人。

予定のない日は誰とも話さないと言う。

一人の食事がとても寂しく味気なく、

初めて結婚を考えたと穏やかな語りの中から、

耐えきれぬ寂しさが伝わる。

悲しみや苦しみには頑張れるが、寂しさに免疫は出来ない。

誰かと暮らし、その人の為にお料理を作り、

お帰りなさいという生活がしたいと言う。

幸せは創れる。